たばこは健康に悪いということは知られた事実です。たばこは数多くの発がん物質を含み、脳卒中をはじめ虚血性心疾患や動脈硬化など様々な病気の元になります。そして喫煙する人はそれを承知で吸うわけです。「そんなの知らなかった!」なんて言う人はいないでしょう。
しかし、幸せの感度を奪うということはご存じない方もいるかもわかりません。幸せの感度を奪うということについて、お話ししたいと思います。
目次
ニコチン依存症
ニコチン依存についてですが、そもそも依存症とはいったいどういう状態のことをいうのか。
依存症とは
特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。
引用:厚生労働省 依存症についてもっと知りたい方へ
更に依存症は物質依存と精神依存とにわけられます。
物質依存はニコチンという物質への依存であり、ニコチンが切れることによる禁断症状を防ぐために依存します。物質依存はすべての依存症にあてはまるわけではありません。
精神依存とは使用したときの快楽が忘れられず、使用せずにはいられないという精神的状況をいいます。また行為そのもの自体に熱中し、やめられなくなることをいいます。
ニコチン依存症は血中のニコチン濃度が下がると、不快感やイライラがおこります。そしてニコチンを摂取するまで落ち着かず、その事しか頭にない状態が続きます。たばこの禁断症状からくるイライラやストレスがたばこを吸うことで治まるため、喫煙者はたばこを吸うとストレスが解消すると勘違いします。
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ニコチンという毒物はコカインやヘロインなどの麻薬と同等の依存性があります。
これらの物質を摂取したときの特徴は、コントロールすることが難しく禁断症状があります。また同じ効果を得るために量が増えていき、その物質が欲しくて物事の優先順位がおかしくなるなどがあります。ニコチンを摂取するとそれらの症状が治まるため、更に依存してしまうという悪循環に陥ります。
幸せの感度が下がる
チョコレートをもらった時の脳の反応の実験があります。
「新型タバコの本当のリスク」より
著 田淵貴大
チョコレートをもらった時、報酬系回路の反応は喫煙者と非喫煙者とでは大きく異なった結果が出ました。喫煙者の場合脳の反応が弱いのに対して、非喫煙者では強い反応が現れました。反応が強いということは「うれしい」という感情が起こったということです。喫煙者の中でも、たばこの本数が多い人ほどその反応は弱かったといいます。
ちょっとしたことでも「うれしい」と感じるか感じられないかということは、生きていくうえではとても大切なことではないでしょうか。喜びを感じるセンサーが鈍くなることは、不幸と言わざるを得ません。
報酬系の回路が邪魔するため、幸せだという感情がうすくなります。太く短く生きるということに関していえば、極端に細くなるということが言えます。
味覚や嗅覚の変化
喫煙している人が禁煙にチャレンジして、だいたい2日目で味覚と嗅覚が正常に戻ります。これによってご飯がおいしいと感じるようになります。この時期には頭痛やめまい倦怠感眠気などの症状が現れニコチンの依存から体が抜け出そうとします。
味覚や嗅覚が正常に戻るということもあるかもわかりませんが、報酬系回路が正常に戻るためにご飯がおいしく感じるということでもあると思います。
最後に
例えひとかけらのチョコレートっであっても貰えばうれしいですし、ご飯だっておいしいです。
日常生活を送る中で、毎日毎日ものすごい「うれしいこと」や「楽しいこと」が起こるというのは考えられません。小さい喜びや楽しみを感じれることが、幸せを感じる事につながるのではないでしょうか。たばこを吸うことで、何も感じないであるとか感覚が鈍くなるということは本当に怖いことです。