ネガティブは良くないという世の中の風潮があります。ネガティブをまるで悪者のように思っています。人は常に悪いものを見つけたがる傾向にあり、高血圧やコレステロールなどがその最たる例です。全て必要なものでも悪者にされています。そこだけを見てその人が悪いと判断してしまうのです。
ネガティブが悪い事ではない理由は、ポジティブな人よりも感動の多い人生を歩むことができるからです。感動なんていらない、ロボットのように生きるんだという人はなかなかいないように思います。
ネガティブな人は繊細で、感情が豊かです。それゆえネガティブになってしまいます。大切なことは、ありのままの自分を受け入れ、無理をしないことです。
少し詳しく見ていきます。
目次
ネガティブとポジティブ
ネガティブが語られる時は必ずポジティブも同時に語られます。
一般的にポジティブは前向きで良く、ネガティブは後ろ向だからダメだと言われます。
人は生まれ持った性質(性格)があります。そこに環境が加わり、結果が出ます。その結果がまた原因となり、くるくる回っていくのです。
花で例えると生まれ持った性質は種で、環境は土の栄養や水や温度などです。その結果花が咲くのです。花や実の中には種があり、花が散った後環境などの条件が整えば発芽し成長してまた花が咲きます。これが繰り返されます。
ネガティブな感情はマイナスの事を引き付け、良くない結果を招く。だからネガティブは良くないという風に考えます。そもそもマイナスとはどういうことを言うのか、マイナスが掛け合わさればプラスになりますし、何をマイナスとするかはその時によって変わってくることです。考え方でどうにでもなるということです。
そもそもネガティブやポジティブなどの性格は生まれ持ったもので、どうすることもできません。
ネガティブを悪者にすることで、得をする人達がいます。
人は常に悪者を見つけたがる
人は常に外側に原因を探す癖があります。そしてその部分だけをみて悪者に仕立て上げ、排除しようとします。しかしそれは本当に必要な事でしょうか。コレステロールと高血圧を例に説明します。
コレステロールと酷似している
ネガティブが悪者にされている様はコレステロールと被ります。
昔はLDLコレステロールは動脈硬化のもとになるということで、悪玉コレステロールと名前が付けられていました。
ところがLDLは結局悪玉でなくむしろ心血管疾患のリスクを下げ、更に長寿に関わってくるということが研究で明らかとなっています。
現在ネガティブが同じような状況にあり、コレステロールと極めて似ていると感じています。コレステロールは体内で70%作られ、必要に応じてHDLからLDLに変換されるようになっています。体がLDLを作り上げているのにもかかわらず、それを悪者にしてしまうのです。体が作るものは体にとって必要であると考えるのが普通ではないでしょうか。
ネガティブやポジティブなどの性格は生まれつきのものです。元々備わっているものというのはその人にとって必要だから備わっているのです。
近い将来生まれつきネガティブの人がうらやましがられる世の中になると私は確信しています。今はバランスが悪過ぎるのです。成功哲学や自己啓発では如何にポジティブが大切かということを謳っています。それはそれで否定するものではありませんが、その人にとってのバランスが大切です。
陽があれば陰があり、陰があれば陽があります。常にバランスで保たれています。陰陽のバランスを崩すと人間でいえば体や精神が支障をきたすことになります。このバランスをとるエネルギーは人によって変わってきます。陽が強い人もいれば、陰が強い人もいます。ポジティブが強い人がいればネガティブが強い人もいるという事です。
高血圧は正常な体の反応
高血圧は生活習慣病に入れられるほど悪いものだとされています。高血圧自体なぜ高血圧になっているのかを考えなければいけません。
血流量が不足しているため血圧があがっているのに、無理に血圧を下げればどこかしらに支障が出てくるという事は容易に想像がつきます。
もし高血圧になっている人が、高血圧にならなければ、高血圧が原因で病気になるより先に命を落とすことになります。なぜなら血圧を上げる必要があるから上がっているだけだからです。
高血圧が悪いのではなく高血圧になる生活習慣が悪いのです。
比較から不幸が生まれる
「もっとポジティブに考えないとだめだよ。」と言われてそう感じなければポジティブな思考になる必要はありません。そう言ってくる人が必要なのであって、感じないのであれば必要ありません。人は何でも比べたがります。自分が優れていれば他人を下に見て、自分が劣っていれば他人を羨ましいと思う。
そこだけを見て優劣をつけるのは簡単です。考えなくて済むからです。しかし、人を構成する要素は複雑にいろいろ絡み合ってるものです。冒頭で書いたように、ネガティブな人は繊細であるがゆえに、ネガティブになるのです。すぐに落ち込みやすい人は心の優しい人です。そういう人は人の痛みが分かるため、人を不幸に陥れることはないでしょう。
マイナスなことで覆い尽くされることは良くありませんが、現実を見る事は大切です。ポジティブと現実逃避と区別がついていない人がいますが、元々ネガティブな人であれば、現実をみながら前を向くことができます。今を把握し、未来に向かう理想的な姿勢がそこにはあります。
これは人生をより良く生きるためには必須の事です。
東洋医学では全ての物質を陰と陽に分けることができ、これを「陰陽可分」といいます。陰があり陽があるということです。お互い片方だけではそのものは成り立ちません。ですので、分かれているようで分かれていないのです。ポジティブとネガティブは違うものに見えて、そもそも一つのものなのです。
例えば楽と苦はセットになっています。
苦しみがあるから楽を求めるし、逆に楽を求めすぎると苦になったりします。2つで一つなのです。
ポジティブを自分に押し付けない
人は押し付けられると反発する性質があります。
今からやろうとしていることをやりなさいといわれると、やる必要があると思っていても一気にやる気が失せるときがあります。
例えば、小さいころ勉強しようと思っていたときに、勉強しなさいと言われてやる気をなくすというような感じです。
ですので、ポジティブに考えないといけないと自分で自分に押し付けると本当の自分が反発するのです。
大切なのは自分を受け入れる事
人は無いものねだりをしますが、今あるものが全てです。無いことに焦点を当て、あれがないからこれがないからと理由をつけるというのは良くありません。
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人は今のままで十分なのです。何も無理をする必要はありません。大切なことは今の自分をそのまま受け入れることです。努力は必要ありません。唯一努力が必要であるならば、今の自分を受け入れる努力です。
人は自分に無いものを手に入れれば幸せになれると思っています。
そもそも幸せとは、なるものではなく感じるものです。そして、今のままで幸せを感じることができるという事です。
「ネガティブだからどうした!それが悪いのか!」
これでいいのです。むしろこの状態になればポジティブともとれるわけです。ネガティブとポジティブは両極に位置しますが、それは言い方を変えれば表裏一体です。ポジティブはネガティブであり、ネガティブはポジティブなのです。陽は陰になり得るし、陰は陽になり得るのです。見方によれば善人は悪人にもなるし悪人は善人にもなるのです。
だからポジティブとかネガティブだとかは関係なく今を受け入れます。
まとめ
ネガティブは決して悪い事ではありません。
ポジティブとネガティブは2つで一つであり、分けることに意味はありません。なぜならポジティブがネガティブに、ネガティブがポジティブになり得るからです。
元からネガティブな人は、一つの才能であり、無理に変えることは自然の摂理に反します。その才能を生かすことを考えます。