健康

活性酸素とその種類。酸素は有害物質だった

2019年11月16日


活性酸素は多量に体内に存在すると人間にとって有害な物質です。そもそも活性酸素とは何なのか。酸素とはどう違うのかを見ていきたいと思います。

はじめに

活性酸素を抑えることが病気を防ぎ老化を遅らせるということは皆さんもご存じの事と思います。

活性酸素は人間にとって害しかないのかというとそういうことでもなく、免疫系にかかわっており人間にとっては必要な物質です。しかし、現代社会では明らかに活性酸素の過剰発生による害が心配です。

人間は酸素を吸って生きています。どれだけ避けても生きている限り酸化していきます。

活性酸素をできるだけ発生させない、またそれを抑える努力をすることで病気にも強い体になるということが言えます。

活性酸素とは

活性酸素とは活性化された酸素、ちょっとした拍子にいろいろな形に変化できる酸素のことを言います。活性酸素を理解するためにまずは酸化から順番に見ていきたいと思います。

酸化するとはどういうことか

通常酸化するという場合空気中にある酸素がある物質を酸化するという感じで使われますが、物質が電子を失うことを酸化といいます。

反対に物質が電子を受け取ることを還元といいます。

酸化還元反応というのは電子のやり取りのことを言います。

電子のやり取りですので酸素が必ず必要というわけではありませんが、多くの場合酸素が関係しています。

酸素と酸化について

この項を簡単にまとめると、酸化=不安定
酸化という言葉がでてきたら、電子をやりとりしていて「不安定なんだな」と思っていただければいいと思います。

酸素分子はO2、酸素原子Oが2個結びついたものです。

酸素原子は中に1つの原子核がありその周りを8個の電子で囲っています。

電子は原子核の周りを2個ずつ1対とすることでになって電気的に安定していますが、一番外側の2個の電子はそれぞれ独立していてペアになっておらず、これを不対電子といいます。

酸素O2は酸素原子の一番外側の電子同士とペアになり安定しますが、結局酸素原子1つだけペアが見つからず不安定のまま結果酸素分子も不安定ということになります。

そのため酸素分子はほかの分子や原子をみつけると電子を奪い早く安定しようとします。
電子を奪われた分子は不対電子となり電子を安定させようと他から電子を奪う反応を次々とおこします

相手から電子を奪うことを「酸化する」といいます。
相手に電子を奪われることを「酸化される」といいます。

活性酸素の種類

ヒドロキシラジカルスーパーオキシサイドラジカル一重項酸素があります。
分子の奪い方で活性酸素の種類が異なってきます。不対電子を持っている分子はフリーラジカルといいます。ここでは2つスーパーオキシサイドラジカル、ヒドロキシラジカルがフリーラジカルにあたります。

過酸化水素

オキシドールともよばれ、消毒薬でも有名です。
ほかの物質から電子を2個奪って不安定な酸素原子にそれぞれペアになります。

過酸化水素はすべての電子がペアになっていますが非常に不安定な状態です。ちょっとした拍子に他の物質を攻撃します。これを利用して消毒液や漂白剤などが作られています。

スーパーオキシサイドラジカル

スーパーオキシドとも言います。
ほかの物質から電子1つを奪い2つの不対電子のうち1つを埋める。

細胞内でATPを作るときに発生します。ですので活性酸素のうち最も多く発生するものです。
また、スーパーオキシサイドラジカルは体内に入った病原菌を白血球とともにやっつける働きがあります。

一重項酸素

他の物質から電子を奪うのではなく酸素分子の2つの不対電子同士がペアを組む状態です。

奪われた方の酸素原子には電子がありませんので非常に不安定な状態となります。

X線や紫外線などをあびると大量に発生し強力な酸化力を発揮します。

ヒドロキシラジカル

酸素分子が分裂し一番外側の電子と水素原子とがペアを組む状態です
過酸化水素から発生することが多いとされています。

活性酸素のうち最も強い酸化力をもちます。
がんを誘発し老化を早めます。

酸素は有害である

昔地球上には酸素は存在しませんでした。やがで酸素を作る植物があらわれ地球上に酸素の割合が多くなってきました。
嫌気性生物にとって酸素は毒ですので次々と絶滅していき、私たち祖先ともいえる好気性生物が誕生しました。

好気性生物であっても高濃度の酸素はその生物の生体に障害を起こします

好気性生物は酸素を消費してエネルギーを生成しますが実はこれはものすごく効率よく大量のエネルギーを生成できるのです。非常にありがたい反面エネルギー生産と同時に活性酸素が生じます。

人間の体もただ単に活性酸素にやられるだけではなくその防御機能も備わっています。

酸素消費量と寿命の関係性

酸素消費量と動物の寿命には相関関係があります。いろいろと思い出してみると人間の中でもこれが当てはまるのではないかと思います。

単純にスポーツをやっていたから早死にするということではありません。スポーツをしている人は平常時の脈拍が普通の人よりも低くいですし、酸素消費量も低いからです。

マウスを使った実験でも通常20%よりも酸素濃度を濃くするとマウスの寿命が極端に短くなることがわかっています。

活性酸素で障害が起こる一つの有名な例を挙げます。

未熟児網膜症

新生児が1㎏以下の未熟児の状態場合呼吸機能が弱いため生き残ることはできませんでしたが、医療の発達により呼吸管理ができるようになり、未熟児であっても生命を保つことができるようになりました。

具体的にはどういう処置をしていたかというと、未熟児に高濃度の酸素を与えていたのです。
結果新生児の死亡率は下がりましたが一方で未熟児網膜症という障害が起こることが多発しました。

原因は動脈中の酸素濃度が高くなると、発育過程の網膜の血管が収縮・閉塞し、低酸素・無酸素状態になり失明につながることがあります。

このことで酸素についての研究が行われ活性酸素も関係しているということがわかりました。

最後に

活性酸素は活性化された酸素のことで、強力な酸化作用を持ち細胞や組織にダメージを与えます。

あれだけ硬い鉄なども酸化の力でボロボロにできるように、私たち人間の体の中も酸化によってダメージを受けます。呼吸で取り入れる酸素の1~2%が活性酸素になるといわれていて、私たちは常に酸化ストレスと戦っています。

活性酸素は老化や病気を促進しますが、活性酸素もコレステロールなどと同様人体にとって無くてはならないものです。免疫にも深くかかわり人間の体を守ってくれている側面もあるということは覚えておきたいところです。

  • この記事を書いた人

宮野 功次

1986年1月8日生 健康・生活に関する役立つ知識や情報を発信していきます。 鍼灸師・柔道整復師 /コメントいただけたら喜びます。

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