健康

コレステロールの摂取制限は必要ない。気にせずおいしく食べよう

2019年11月27日


昔はコレステロールの食事からの摂取上限が決められていました。それは血液中のコレステロールが上昇し冠動脈疾患などの生活習慣病を引き起こすと考えられていたからです。日本人の食事摂取基準(2015年) からも卵などのコレステロールを多く含むものをとったとしても血中のコレステロール値には影響しないことがわかっています。

食事からのコレステロール摂取は関係ない

「卵はコレステロールが多いから一日一個までにしましょう」
といわれてきました。なぜ卵が1日1個かというと卵一個に含まれるコレステロールは大体500㎎程です。今まではコレステロールの摂取基準が設けられていて一日男性は750㎎、女性は600㎎でした。

卵2個食べると男性の基準値も超えてしまうため2個以上は食べ過ぎで1日1個とされていました。卵はなじみがありコレステロールが豊富なことからやり玉に挙げられていました。

摂取制限が必要ないのは世界の流れ

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こちらの前の記事でもふれたようにコレステロールは人間の体を維持するうえで必要不可欠なもので、そのほとんどは体内で合成され作られています。およそ70~80%のコレステロールが体内で作られ、残りの20~30%は食事からの摂取によるものです。

食事からの摂取が多くなるとフィードバック機構が働き体内で作る量を減らし、逆に食事からの摂取が少なくなると体内で作る量を増やします。常に一定に保たれ、末梢組織にまで充分にいきわたるようになっています。常に体内で一定に保たれる仕組みを内部環境の恒常性(ホメオスタシス)といいます。

アメリカは2015年に食事から摂取するコレステロールと血中コレステロールとの間に明らかな科学的根拠がないとして、コレステロール摂取制限をガイドラインから削除しています。

世界がそういう流れになりつつ日本でもコレステロール上限を設定するのに十分な科学的根拠がないとして厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書でコレステロール摂取は問題ではないとのことです。

この中でもあるように日本人を対象とした研究でもコレステロールの多い卵の摂取量と冠動脈疾患や脳卒中疾患による関連は認められていません。卵はコレステロールを多く含み、日常的に摂取する機会が多く卵の摂取量と疾患リスクを調べることで、コレステロールと疾患のリスクを推定できるとされています。

コレステロール自体に問題があるのではなく同時に摂取される飽和脂肪酸の摂取量が影響している可能性があるとしています。飽和脂肪酸は肉や、牛乳、バターなどに多く含まれています。

これらは結局食べ過ぎによって必然的に飽和脂肪酸の摂取する機会も多くなるわけですので、食べ過ぎだけ気を付ければいいということになります。

無謀に摂取しすぎない

例え1日10個食べたとしてもコレステロール値はほとんど変化しないようです。

いくら食事からのコレステロール摂取は問題にならないといっても、無謀に摂取しないことが大切です。例えば卵を毎日10個・20個というのは少しどうかと思います。常識の範囲内で、コレステロールを気にすることなく食べる感じがちょうど良いかと思います。

卵と健康:コレステロール問題を中心に
菅野 道廣,2019

コレステロールを摂取してもコレステロール濃度が上昇しない人が全体の2/3存在し、むしろLDLやHDLの機能性を改善する例もあり日本人ではLDLの酸化を抑制する効果もあるようです。

日本人は食事性コレステロールは50%卵からの摂取に対して米国人は肉類が40%以上卵に至っては25%程度しかなく、それを踏まえたうえで研究結果を見る必要があります。

2/3の人が上昇しないということは、1/3は上昇するということです。コレステロール摂取で血清コレステロール値が上昇する人や、既に高コレステロール血症の人は慎重に判断しないといけないけません。

その昔卵がコレステロール値を上げるという風潮になったのは、ウサギによる実験からきているようです。ウサギは草食動物で、人間とは構造が違います。それと同様に腸の長さなど、体のつくりから体質まで欧米人と日本人は違います。食べるものも違いますので、一概に同じように見ることは出来ないということです。

コレステロール値2/3は上昇しない.......のもとの論文はこちらです
Dietary Cholesterol, Serum Lipids, and Heart Disease: Are Eggs Working for or Against You?

CN Blesso, ML Fernandez - Nutrients, 2018

高血圧の食塩感受性と同じで、人それぞれで違ってくるということです。

例え非食塩感受性だとしても食塩を大量にとらないというのと同様に、食事性コレステロールも無謀に摂取するのは健康に良くないということは心得ておきたいところです。

まとめ

コレステロールの摂取制限は必要ありません。

摂取制限が必要ないとしても、度を超える摂取はバランスから見ても良くありません。コレステロール値に異常は出なくてもほかのところで異常が出てくるでしょう。人間の体はバランスが崩れたときに異常が痛みや病気として出てきます。程々を心掛けるようにします。

コレステロールの事は気にせずおいしく食べましょう。

  • この記事を書いた人

宮野 功次

1986年1月8日生 健康・生活に関する役立つ知識や情報を発信していきます。 鍼灸師・柔道整復師 /コメントいただけたら喜びます。

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