最近はよく「嫌われる勇気」という言葉が聞かれます。私はこの言葉に物凄く違和感を感じていて、しばらく考えていました。そもそも嫌われるとはどういうか、嫌われる結果どうなるのか、をみていきたいと思います。
目次
言葉の意味を把握する
最近はよく「嫌われる勇気を持とう」などという言い方で聞かれます。まずは言葉の意味を把握していきます。
嫌われる
嫌われるは「嫌う」+「られる」です。
「られる」は「れる・られる」の受け身で他からの動作を受けることです。
嫌う
1.(人や動物が主語となって)
・いやだと思う。「人に-・われる」「家業を-・って家を出る」
・(好ましくないものを)避けようとする。「連休の混雑を-・って旅行を見合わせる」
2.好ましくないとして退ける。
抜粋:大辞林 第三版
人間に対して当てはまるものを抜粋しました。
勇気という言葉
勇気
物事を恐れない強い心。いさましい意気。
抜粋:大辞林 第三版
私が違和感を感じていたのは、まずは勇気という言葉です。勇気はポジティブな言葉で、困難や危険を顧みず行動することで得られるものが、自分にとって好ましいものである。という認識をしていました。嫌われることによって自分にとってのデメリットがメリットより多いのであれば勇気とは言えません。
しかし勇ましいという言葉は、「皮肉」や「からかい」の意味で使うことも多いようですので、皮肉でいう分には言葉として正しいことになります。
嫌われることによるデメリット
元々「嫌われる勇気を持とう」という言葉は、自分のやりたいことがあるけれど、自分の行動や言葉によって誰かに嫌われる恐れがあるため行動に移せないでいる人に向けられた言葉です。そのやりたいことが反社会性の性質のものでないということは言うまでもありません。
勇気という言葉のほかに私が感じていた違和感は、まるで嫌われることがかっこいいかのように感じられることです。勇気という言葉を使っていることと、嫌われるという一般的に避けている人が多いことに挑むイメージがあるためそう感じるのだと思います。
しかし嫌われることのデメリットがどれだけのものかが分からず、実際に嫌われてしまうと生きづらい世の中だと感じてしまうかもしれません。さらに、嫌われることにより、結局自分のやりたいことに支障が生じるということもあります。そういう状況になって初めて勉強するのもいいのかもしれませんが、想像力を膨らまし事前に知っておきたいところです。
まるで嫌われることが素晴らしいという考えは非常に危険です。なぜなら人に嫌われることのデメリットが大きいからです。間違って認識していれば人を傷つけることも躊躇しなくなります。例えば人を平気で傷つけることを言っておいて「本当の事だから」「言ってあげないと分からないから」とドヤ顔で、「嫌われる勇気も必要」などと言う様は滑稽以外なにものでもありません。
デメリットを分かって嫌われる行動をするのとしないのとでは全然違うものになります。それでも「嫌われてもかまわない!」というのであれば、それはその人の覚悟の現れです。
ですので嫌われる勇気を持とうという無責任な言葉は人にかけるべきではありません。本人が嫌われてもそれでもやるんだ!という覚悟があって初めて勇気という言葉が使えるのではないでしょうか。
しかし、好かれようとする努力は必要ありません。なぜなら、続かないからです。好かれようと努力することは偽りの自分を出し続けなければいけません。どこかでぼろが出るのと、自分自身がやられてしまいます。
それではデメリットを挙げていきます。一番のデメリットは究極死を意味します。
会社に居れなくなる
会社に勤めている人は会社の内外で嫌われるような言動はしないはずです。それは会社に居れなくなるからです。取引先に嫌われれば取引ができなくなり、責任を取らされます。会社に重大な損害を与えれば首になり、それに近いようなものは永遠に出世できないようにさせられます。それを悟ると自ら退職という道をとることもあります。
会社内で周りに嫌われれば仕事がしづらくなります。頼み事もされなくなり、必要とされることもありません。そして出世することもできなくなります。
出世に影響する
出世は好き嫌いで決まるということは避けようのない事実です。サラリーマン経験のある人は誰もが思うことでしょう。もちろん全部が全部ではなく割合から言えば少数です。
嫌われることがなければ、能力で出世できるということが普通です。しかし上司や同僚に嫌われていたら、あらゆる手を使って出世を阻止するのは当たり前の話です。人間は好き嫌いで生きているためそんなものです。出世のチャンスとなる仕事を与えない様にしたり、手柄を奪ったりです。その結果いくら能力が有ったとしても出世できなくなります。逆に好かれていれば、出来るだけ多くのチャンスが与えれられ出世させてもらえます。出世はするのではなくさせてもらうのです。
これを勘違いすると、サラリーマンの世界では痛い目にあいます。
会社が倒産する
事業を興しても同じです。そこの会社では自分はトップで自分のやりたいようにできますが、お客様あっての経営です。そのお客様に嫌われ続ければ、商売は成り立たなくなり、倒産します。
嫌いな人にお金を払いたい人はいないはずです。商品を買っているようで実は人に対して払っているのです。飲食店やホテルのサービスを想像すると分かりやすいです。飲食店でいえば食べ物だけに支払っているわけではありませんし、ホテルも部屋に泊まる料金だけが料金ではありません。そこで働く人たちのおもてなしもサービスに含まれていて、そこにもお金を支払っています。
お客様から嫌われると当然お金が入ってこなくなり、会社は潰れます。
公私で協力が得られなくなる
嫌われるということは簡単に言えば、助けてもらえなくなるということです。すべての人は影響しあっていて、関係ない人はこの世には存在しません。影響する力が大きいか小さいかだけの話です。
嫌われ続ければ仕事を失い、衣食住ができなくなります。日本には生活保護というシステムがあるため、死ぬことはないかもしれませんが、日本以外の国では確実に死にます。
協力が得られないのは単純に物事を達成できないというだけではありません。協力が得られるということは何かを一緒に取り組むということです。人が同じ目的で動き、達成されれば必ず感動が生まれます。どれだけ感動できたかということは、生きていく喜びを実感できる数少ないものとなります。そういうことを経験できないということは不幸に他なりません。
まとめ
嫌われる勇気を持つにはまず嫌われることで起こる出来事を想定することです。全ての人に嫌われることはまずありません。なぜなら一気に全ての人から嫌われることはなく、途中で嫌われることの弊害に気づくからです。
好かれる努力は必要ありませんが、嫌われない振る舞いは必要です。嫌われるデメリットは自分のやりたいことを阻む結果になりかねません。無意味に敵を作る必要はないということです。
発生するデメリットを理解したうえで「例えそうであっても、自分の思うことをやるんだ!嫌われてもかまわない!」という覚悟があれば本物であり、それで初めて嫌われる勇気という言葉が使えます。
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