考え方

死を意識することがポジティブな理由とは

2020年4月12日

生きているものは必ず死にます。生物学上死ななかった人はいません。ところはほとんどの人が「死」というものに触れようとはしません。それはネガティブな感情があるからに他なりません。今回は「死を意識することがポジティブである」ということをテーマに考えてみました。

死を意識することがポジティブな理由は、人は死を意識して初めて生きることを意識するからです。死を否定すれば生きることを否定することになります

少し詳しく見ていきます。

全ては表裏一体

冒頭でもふれた様に、死を否定することは生を否定することになります。なぜなら2つで1つだからです。セットになっているわけです。

例えば東洋医学では全ての物事は陰と陽に分けられるという「陰陽可分」という考え方があります。二つはもともと一つという考え方です。

夫婦は夫がいて妻がいます。女性がいなければ夫という存在はなくその逆も同じことが言えます。

カスタネットのような楽器を想像してみます。1つ1つはただの木の板です。2つ板が揃って初めてカスタネットと呼ばれる楽器になります。

人間の生死についても死がないのであれば、生は存在しないことになり、今ここにいないことになります。

人の長所や短所も2つで1つ

人の長所や短所も、どちらかがなければもう一つもありません。

人は人の悪いところに目が行きがちです。長所は見つけられないけど短所を見つけることが得意な人は多いです。その短所を否定することは、長所を否定することに繋がります。ですので、短所は克服するものではないことが分かります。個性ということが言えます。

音楽家の例え

例えば、生まれつき目が見えない人がいるとします。これはハンディと言えると思いますが、目の見えない人が音楽などに没頭するとものすごい才能を発揮する人がいます。

通常人間の感覚の8割が視覚からの情報を頼りにしていて、聴覚からは1割ほどの情報しかありません。生まれつき目が見えない人は視覚の情報が得られないため、他の部位からの情報に敏感になります。

そのことで元々持っている音楽の才能に聴力の能力が加わり、普通の人ではできない演奏が出来たりするそうです。

ところがこのハンディを否定してしまうと、長所まで否定され、その人自身を否定することになります。

ですので、この場合のハンディはハンディでも短所でもなく個性と考えるべきなのです。

医者の例え

とある医者の腕は随一で、全国から予約が殺到するほどの名医です。その人にかかれば、困難な手術も成功し、命が助かります。

この医者の奥さんは、全く片付ける事ができない、後片付けが出来ない、小学生でも出来きることが出来ない、と嘆いています。しかし、この短所を否定することは、医者の長所である腕がいいということも否定しかねません。

大人になっていまだに残っている短所は、もはや短所ではありません。なぜなら、子供の頃から注意されてきたはずだからです。それでも尚残っているということはその人にとって必要だから残っていると考えるのが自然です。

もし、短所を克服しようと努力すると、本当に大切なところで力が発揮できなくなります。この例でいえば手術です。全身全霊で手術しなければいけないのに、普段から余計なところに神経を使うのはいい事とは思えません。片付けみたいなものは出来る人がやればいいのです。片付けることについてとやかく言ってくるなら問題ですが、恐らくそれすらも医者にとってみればわからないことでしょう。彼の頭はそれどころではないのです。

短所を否定すれば、長所も否定され、その人はその人ではなくなります。2つで1つなのです

一つになる事で生まれるものがある

夫婦でいえば、2つが一つになり出来るのが赤ちゃんです。

カスタネットでいば、2つが1セットとなれば音を発することが出来ます。

人間の生死であれば、2つがセットになることで今現在があり、その存在がなければ本来生まれないはずの何かが生じることになります。

この様に一方がなければ存在し得ないということは、例え都合の悪い事であっても、何かを生み出すのなら必要なものだということが分かります。

全てを受け入れる

良いところがあれば悪いところもあります。悪いところは改善できないことも多々あります。子供の頃からある悪いところが今でも治っていないのであれば、もう改善することは出来ません。それはその人にとって必要だから備わっていると考え受け入れます。

悪いところを受け入れれば、良いところは更によく見えます。

人間の生死に関しても死を受け入れることで、生というものがより素晴らしいものであると感じることが出来ます。それは死を意識したために、起こったことです。

逆に死を考えずそこから逃げていると、生きるということを考えることもないため、人生はつまらないものになります。それは、自分のないものを求めることに繋がり幸福を感じることは少ないでしょう。

一見悪いものとされているものに目を向けることで、良いものがより良いものと感じることができます。これはポジティブと言い切って間違いありません。ですので、死を意識することはポジティブな事であるといえます。

  • この記事を書いた人

宮野 功次

1986年1月8日生 健康・生活に関する役立つ知識や情報を発信していきます。 鍼灸師・柔道整復師 /コメントいただけたら喜びます。

-考え方

Copyright© 宮っち食堂のブログ , 2024 All Rights Reserved.